正しいシューズの選び方

ピッタリなシューズは怪我のもと   

 スポーツ的なウォークを目指すとき、大袈裟に言ってしまえばシューズは命の次に大事なものと言えます、良かれと思ってウォーキングを継続したことがマイナス(ダメージ)になっては元も子も取れません。

最近は靴屋さんに行くとやたらウォーキング用シューズと銘打った靴が目に付きます、それでは今まで歩けないシューズを売っていたのでしょうか、首をひねってしまいます。

 申し訳ありませんが私くしは「確信犯」です、こん日まで10年間近く歩き続け、その間およそ20足前後のシューズを履き潰して来ました、正確に言えば、内3足は履くに耐えられず処分してしまったものです。

最近履き潰したシューズ

私くしの場合シューズはだいたい10ケ月前後でダメになります、駄目になるとは、例えばNIKEのエアー入りのシューズであればソールが摩滅しパンクして初めて廃棄します。

今まで20足近くのシューズを履いてきた結果、満足したシューズは一足もありません、ですから20足は全部種類が違います。

それこそ何度も痛い目に遭って来ました、本当に痛かったのです、病院で疲労骨折一歩手前と言われたこともあります。

その様な訳で、最近やっとシューズを選ぶ基準が解かってきました、もう一度言い切ります、私は「確信犯」です、ですから確信を持って言い切ります、当然、各方面、各分野のご批判は覚悟の上です。

 ハッキリ言って10Km位までのウォークでしたら、どの様なシューズ、それこそ本物の草鞋(わらじ)ビーチサンダルであっても問題はないと思います、しかしこれ以上を目指すのであれば、シューズ選びは重要になってきます、よろしかったら下記の「確信犯」の独り言を参考にしてみて下さい。


  トレッキングシューズ

 何から話しましょうか、そうトレッキングシューズから入りましょう。

 まずこの手のシューズは日常ウォーク、五街道ウォークにとって
全く不必要です、不必要というよりも危険です、ところが街道を歩いていると、意外と多くの人達がこれを履いているのです、何かアウトドアブームの影響のような気がします。

トレッキングタイプのシューズ

  サア、ひとつずつ解説してゆきましょう、マズこの手のシューズのほとんどはハイカットになっています、つまり足入れの部分がくるぶしの上まで長く伸びているシューズです。

 とりあえず裸の足を目の前で組み、自分の足を見て下さい、チェックすると自由に動く部分は2ヶ所だとわかります、それは五本の指くるぶしの2ヶ所です。

 この自由自在に動くくるぶしをホールドしてしまうハイカットシューズで一日15Km以上歩くと足首に靴擦れを起こし、うっ血を起こしてしまいます。

  そこで多くの人達はシューズのヒモを緩めにしています、しかしこんなブカブカなシューズではとてもビューッとは行けません。

足は踝(くるぶし)を中心に上下します

 ですから陸上競技用のシューズにハイカットはないのだと思います、従ってハイカットタイプのシューズは以後ウォーキング用シューズの選択肢からは外します。

 次にソール(地面と接触する靴底)です、この手のトレッキングシューズのソールはブロックパターンになっています、ダート用だからです、モトクロス用バイクのタイヤがそうです。

 ところが舗装路を走る
F1用のタイヤはつるつるです、これは接地面積をより多く取る為と言えます、街道の殆どは舗装路です、このブロックソールで歩くとスリップによる疲労度に違いがでてしまいます。

トレッキングシューズのソール

  次に歩きずらい悪路とされる石畳道、とりわけ苔むしている石畳をこのパターンのソールで歩くのは自殺行為です、硬いブロックの一部しか石畳の石に接地しません、結果は滑り転倒です。

 このブロックパターンタイプのソールは総じて硬いゴム製です、このソールで長時間、舗装路上を歩くと衝撃が直接伝わる為、膝や股関節にダメージを与えてしまいます。

 この様な訳でトレッキングタイプのシューズはウォーキング用とは言えません。


  限られた中の選択肢

 次にウォーキング用と銘打ってあるタイプのシューズ、これには2種類あります、まずは通勤、買物等にも履けるというタイプ、男性用であれば黒か茶系統、女性用であればベージュ等のタウンウォークシューズと称する代物です。

 このタイプのシューズも原則的に不可です、とても長距離には対応できません。

 もう一種類はスポーツ(フィットネス)ウォーキング用と称するシューズです、一見スポーティーな外見をしています、私も愛用した時期が有りましたが、良好な結果は得られませんでした。

 この手のウォーキング用シューズと言うと、ほとんどのシューズメーカーはハンで押したように靴幅が4Eなのです、何故ウォーキングシューズは4Eなのでしょうか理解に苦しみます、そしてソールに見るべきものがありません(後述)。

 サア、いよいよ確信犯のシューズ選びを紹介しましょう。マズ、シューズ選びはシューズ単体では選べません、ソックス、インナーソール、シューズの三点セットで選びます。 

当然ソックスも多種多様ですが、吸汗速乾性を供えたやや厚目なものを選びます、この厚みがシューズと素足のギャップを埋めます、あえて現段階で薦めるとすると、モンベル社のスポーツソックスが手頃です(主にアウトドアー系のショップが扱っています)。

別買いのインナーソール スポーツソックス

 次に別買いのインナーソールです、何故、インナーソールなのかと言いますと、ウォーキングシューズに見るべきものがない以上、ランニング用シューズの中から選ばざるを得ないからです。

当然ランニングシューズですからランニング用(ランニングG)に設計されている訳です、このシューズをウォーキングに使用すると堅すぎるのです、つまり十分な衝撃吸収が得られません、そこでそれを補う為にインナーソールが必要になるのです。

このインナーソールなるもの、色々なものを試してみましたが、現段階でお奨めできるものは「インプラスのアスリートプラス」が優れものです。

 踵とつま先に
衝撃緩衝反発性の素材が入り、吸湿性もあります、但し、若干厚みがありますから事前の用意が必要なのです。

サア、ソックスとインナーソールを持っていよいよ、シューズショップに乗り込みましょう。

 この場合あまり店員さんの意見を求めないほうが賢明です、何故なら一日に30〜40kmを歩き通した
経験のある店員さんは居ないからです、せいぜいウォーキング用シューズを奨められてしまうのがオチです。

妥協をしてはいけません、極普通の人であれば、一足のシューズを履き潰すのに1〜2年掛かります、その間ズッーと我慢をしいられてしまいます。

価格帯は定価1万円前後の中から選びましょう、あまり安価なものは期待通りの性能が得られません。


  ソールの選択

足のつま先部のみが曲がる

 当初、言いましたように、足の構造を理解して下さい、足に関して関節で曲がる所はつま先部分だけです、指の付根から踵まではフラットで全く曲がりません。

そこでランニングシューズを手に取り、シューズの前後、踵とつま先を両手で拝む様にして圧縮します、この時ソールの曲がり方が、つま先部分(先調子)だけ曲がるのが理想です。

 つまり指の付根の関節と同じところが曲がるのがベターなのです、踵からつま先の踏付け部までがフラットをキープし、つま先だけがグニャと曲がるのがベストなのです。

先調子のシューズ ソール全体は曲がらずつま先のみ曲がるのが理想です

これとは反対に半月状にカーブを描く、つまり全体にまがるソール(胴調子)は奨められません。

この手のシューズで歩くと、踵からつま先に掛けてアーチを描いている骨の内側(地面側)は一歩毎に開かされ、その結果甲側は
圧縮されてしまいます。
 
 長
距離を歩くとこのくり返しから、ある瞬間、強烈な痛みが甲に走ります、こうなってしまうとせっかくの旅も中止です、そして1〜2週間は痛みで歩くことが出来なくなってしいます。

胴調子のシューズ ソール全体が曲がるシューズは避けましょう

医学的な説明は出来ませんが、過去この症状を何度も経験し、又、仲間の経験から統計的に割り出したものです。

 
この手のダメージは全て胴調子のソールに共通していました。




  シューズ幅の選択

 先調子のソールが決定したら次に大事なのがサイズです、この場合のサイズとはシューズの長さではなく、2E(EE)、4E、6E等の靴幅を指します、これはかなりの曲者です。

あるメーカーではウォーキングシューズの殆どが4Eになっています、特別足幅が広くない限り4Eは不必要です、長距離を歩くにはツマ先部分に十分な余裕が必要なのです。

ところがツマ先に余裕を取ってしまうと、4Eサイズのシューズではブカブカになってしまいます。

 これも私の経験ですが、この様なシューズでは必然的に
靴ヒモをきつく閉めざるを得ません、ところが足の甲には見ての通り血管が走っています、ここを締め上げてしまうと、うっ血を起こしてしまい、ダメージを受けてしまいます。

逆にシューズ幅に合わせてしまうと、ツマ先に余裕が無くなり、これまた親指、小指にダメージを受けてしまうのです。

かように4Eというサイズは一般的な足にとっては誠に不具合なものです、この様なサイズをウォーキング用の標準としているメーカーには疑問を感じざるを得ません。


  シューズの長さ決定

 サア、これで先調子のソール、そして2E(EE)のランニングシューズまで来ました、いよいよシューズの長さ決定です。

通常の革靴等を購入する際のサイズを目安にして、プラス1.5cm〜2.0cmオーバーサイズを指定してみて下さい。

店員サンからシューズを受け取りましたら、シューズに入っているインナーソールを取り出し、自前のインナーソールをセットし、ソックスを履き替え、足入れをします。

人差し指一本半が入る余裕をとる ジャンケンのパー

靴ヒモは完全にフリーにしておきます、サイズ決定の標準としては、足を前方に詰めた場合、踵部分に人差し指一本半が楽に入るのが理想です。

次に踵を押し付けた状態で、ジャンケンのパーがツマ先で出来なければいけません、もし親指なり小指が当たるようであればワンサイズ上げてください。

両サイドのホールド感があり、指まわりに十分な余裕が得られるサイズ、これがあなたにとってピッタリなサイズなのです、後は靴ヒモをソット締めるだけでOKです。

従っていつも26.5cmだからスポーツシューズも26.5cmは間違った選択であり、ピッタリではなく、かなり窮屈なシューズになってしまいます、それこそ節分ではありませんが豆だらけになってしまいます。

 特に女性の方は十分にお気をつけて下さい、私の足は「そんなに大きくない」とか、「大きいと思われたくない」との乙女心からアンダーサイズを選んでしまう傾向があります。

 同じタイプのシューズが二種類あり選択に迷いましたら、靴ヒモで締める部分のパッドの厚い方を選択して下さい、色やデザインは最後にしましょう。


  シューズのひも締め

前後各一個のヒモ通しを外してセット

 
 シューズのアッパーには
靴ひもを通す穴がズラーッと並んでいますが、ご丁寧にその全部にヒモを通す必要はありません。

 足の親指と小指に
圧迫感を与えてしまう位置の穴は避けます、同様に足首の曲がり部分にかかってしまう穴も避けておきます。

 サア、これで
ビューッといけますね、とは謂うものの、靴ならし、足ならし、体ならしを十分にしてからにしましょう。


  確信犯のシューズ遍歴

 日本人の足はだん広甲高(だんびろこうだか)と言われています、私の足も同様です。

 その様な訳で、歩き始めた当初、
日本のシューズメーカーならその点、問題がないだろうと数社のシューズを履き続けました。

 しかし街道ウォークに出ると必ずと言えるほど
小指側にマメが出来、甲側に痛みが出ました、

 ある時
ナイキの「スピリドン」と言うシューズを購入してみました、細身でしたのでサイズを上げて合わせました。

 最初は
半信半疑でしたが、街道ウォークに出てもダメージが生じませんでした、それ以前のシューズと徹底的に比較対照してみました。

 その結果から
先調子のソール2Eサイズそして余裕を持たせたシューズの長さにたどり着いたのです。

 次に購入したシューズはナイキの「シチズン」です、非常にバランスのとれた良いシューズでした、若干ソールが硬めでクッション性が悪いので初めて別買いの
インナーソールを入れました、これにてほぼ理想に近いシューズになりました。

サイドが裂けてしまったチューンドマックス

 その後何足かナイキのシューズを履きました、しかしこのメーカー、不思議な事に折角気に入ったシューズのタイプがあってもそのまま後継モデルに引き継がれません。

 そして「チューンドマックス」を最後に決別しました、このシューズはソールが痛む前にサイドが裂けてしまいました、色違いの仲間のシューズも同様です。

 現在はリーボックのシューズを履いています、「デイトナ」「タービン」「テンプテーション」です、いずれのシューズにもDMXと言う、機能が付いています、これはソールの中にエアーが封入されていて、これが歩く毎に前後に移動するものです。

リーボックタービン 蒸れ防止の穴をあける リーボックテンプテーション

 いずれのシューズもそこそこにソールは満足できます、しかし「タービン」はビニール状の一枚板で側面をホールドする仕組みになっています、サイドのホールド感は抜群で、ある意味理想的と言えます。

 しかし蒸れてしょうがありません、自分で空気穴を空けました、そしてアッパー部が薄く靴ひもの圧迫が直接甲に伝わってしまいます。

 以上の通り、全てに満足できる一足には中々お目にかかれません。