ウェアリング(服装)

 街道を歩いていますとそれこそ多くのウォーキンググループや中年の夫婦連れの方々とすれ違います、はなはだ失礼な言い方で申し訳ないのですが、その方々の服装はハンで押したように一様です。                                       

トレッキングシューズにジーンズかコットンのパンツ、チェックのシャツにコーデュロイのベスト、そしてチロリアンハット風の定番スタイル、背には大きなリュック、あの大きなリュックの中には一体何が入っているのでしょうか。

服装は個人の趣味であり、とやかく言えませんが、そのような服装はあまり合理的とは言えません。

 またまた、「確信犯」の独り言ではありますが、時間と寛容の精神がありましたらお聞き下さい。


  ウェアリング システム

 聞きおよぶところによりますと、極限であります、K−2の登頂や南極海を通過する外洋ヨットレースの人達のウェアーの組立は基本的に三枚の組合せだそうです。

 それはそうですよね、いくら極寒とはいえ十枚も着込んでは活動できません、つまり三枚の組合せとは、
アンダーウェアー(下着)、ミッドウェアー(中間着)、アウター(外皮)のウェアリング(組合せ)で対処しているそうです。

 このウェアリングのシステムは、活動により体が発熱し、その発汗をアンダーウェアーが素早く吸収し、ミッドウェアーが、これを受け継ぎ、アウターに受け渡す、アウターは防水透湿素材で出来ています。

 
防水透湿性とは字の如く、雨や風をブロックし、汗や湿度を外部に放出する素材を指します、このシステムにより良好な皮膚環境が保れ、体温を維持し、十分な活動が確保されるのです。

雪の甲州路

 この近代的なシステムを利用しない手はありません、ウォーキングは春夏秋冬、一年を通して行うスポーツであり、街道ウォークはあらゆるコンディションに遭遇してしまいます。

 当然その
対処が必要になります、あえて言えば対処と同時に、むしろ最初から身に付けておけば良いと思います、その様な訳で冒頭の服装があまり合理的ではないと言った訳です。

 ジーンズコットンパンツは確かに吸汗性は良いのですが、速乾性はありません。

 雨に濡れてしまった上にビニール等の透湿性のない
レインウェアーを羽織ってしまうと、それこそ不愉快極まりないものになってしまいます、冬場の峠道であれば凍えてしまいます。

その様な訳で着替えが必要になり、大きなリュックが登場してしまうのではないでしょうか。

 大きなリュックと重い荷物は
快適なウォーキングをスポイルしてしまいます、前後に振る肘の動きを制限し、左右に揺れるリュックは知らず知らずのうちに足首、膝の関節、股関節に負担をかけてしまいます。

 そこで是非とも最小限の装備で最大の効果が得られるウエアリングを考えてみましょう。

合理的なウェアーのカタログ集

まずは、お近くのアウトドアーショップに行き、ザ ノース フェース、モンベル、ヘリー ハンセン等のカタログ集を入手してください。

 無論その他のメーカーでもかまいませんが、この三社のカタログは大系だっており、素材等の説明がしっかりしています。

 それではこれらの中からベストと思えるものを
チョイスしてみましょう。

 無論、日常の朝夕の短時間ウォークではここまで凝らなくても結構です、あくまで
ロングウォークを想定したチョイスです。

 チョイスは春秋と分けて組み立てましょう。


  陽炎が立つ頃

私のトランクスです サプレックス素材のショーツ(短パン)


 マズ夏です、アンダーウェア(肌着、下着)のページから吸水拡散性素材の薄手(ライトウエイト)のパンツを選んでください、最近は女性用も充実しています。

 この手の素材は快適なばかりではなく、旅先で
洗濯しても速乾性が高いので背の荷が楽になります、その様な訳で、なにもウォーキングばかりではなく、出張のお父さんにも便利物です。

 つぎはショーツ(短パン)です、当然透湿性の高いサプレックス素材等のものを選択します、バミューダタイプの様な中途半端な長さではなく、短パンタイプにしましょう、足さばきが楽に行えます、意外と腿は大汗をかきます。

ところがこの短パン、恥ずかしがり屋のオジサンがなかなか履けないのです、どうか清水の舞台から飛び降りたと思って履いて見て下さい、スポーツシューズに白いソックス、陽に焼けた足に短パン、格好良いですよ。

ヘリーネックのTシャツ メッシュTシャツ

 Tシャツを選びましょう、素材は吸水拡散性に優れたダクロンQD Max等の素材からチョイスします。

この場合、Tシャツに前ボタンのついたヘリーネックは優れものです、ヒートコントロールがし易いからです。
 
つまり、腹から胸に掛けての
発熱が抜けやすいのです、その点では同素材のポロシャツも選択肢に入ります、襟を立てれば、首筋にあたる直射日光を遮ることが出来ます。

 又、アスファルトの路面から陽炎が立つぐらいの真夏日は、各スポーツメーカーが出している、ランニング用のポリエステル素材メッシュTシャツが非常に涼しく、快適です、何よりも水道で濡らし軽く絞って着るだけで体がクーリング出来ます。

 夏は以上で十分です、なお、帽子やサングラス等はアイテムの章で紹介します。


  時より鳥肌が立つ頃

 にしましょう、この季節は暖かく汗ばむ日もあれば、冬の様な寒さにも遭遇します、二段重ねのウェリングが必要になります。

ハイネックアンダーウエアー タイツ&ニーロングタイツ

 アンダーウェアーのパンツは夏用で十分です、夏用のTシャツもアンダーウェアーとして流用できます、但し寒い日も想定して、吸水拡散素材アンダーウェアーで薄目(ライトウエイト)のロングサイズかニーサイズのタイツ、上半身は同種の長袖にします。

 この場合、
ハイネック(スタンドカラー)タイプで前にジッパーが付いたものがベターです。

 ヒートコントロールがしやすいからです、寒い時にはジッパーを締めれば、
首筋を保温し、逆に熱い時にはジッパーを下げれば熱気が首元から抜けます

 サァ、次はアウターです、個性の発揮できる部分ですのでジックリ研究して下さい。

場合によっては冬場と雨(雨対策は別の章で紹介します)を想定して、最初から防水透湿素材の最高峰とも言える、ゴアテックス素材のレインウェアーの上下セットを購入してしまい、晴天時から着用してしまう人もいます、これは決して間違った選択ではありません。

しかしゴアテックスの上下セットは高価であり、それ相応な重量と収納した時にカサがあります。

ここでは例により「確信犯」の独り言をお聞きください。

ウインドブレーカージャケット ウインドブレイカーパンツ

 防水とまでは言えませんが、撥水性を備えた透湿素材のウィンドブレーカーの上下で必要にして十分です。

 裏地に薄いメッシュ素材が付いていれば完璧です、これらのウェアーは
ポッケタブルとも言われ、コンパクトにも畳める為、携帯性に優れ、なによりも軽量なのがベストなのです。

後は当日の気候に合わせてアンダーウェアーのウェアリング(組合せ)を変えればいいのです、これでリュックの中も大分少なくなります。

 尚、このウインドブレーカーの上下はアシックス、ミズノ、ナイキ等の同等素材のトレーニングウェアーでも十分です、研究して見てください。

サァ、ここでもう一つのベストアイテムを紹介しましょう、それは「ベスト」です、但し、よく見かける全面にたくさんのポッケトが付いたものは関心しません。

やや厚地のベスト 薄地のベスト

私が薦めたいのはウインドブレイカー等と同素材のペラペラのベストがベストなのです、裏地にフリースが付いたようなものは、使用期間が限られ、たたんでもカサバッテしまいます。

このベストは調味料みたいなもので、適切に使用すると効果をあげます、それこそ真夏以外あらゆる状況で適切に着用でき、効果絶大です。

 心地よい気候であれば、短パンにTシャツとベスト、涼しい時には、短パンを脱ぎ、上下のブレイカーを着用、寒いようであれば、上下ブレイカーの下にタイツと長袖のアンダーウェアー、さらに冷えるようであればベストを中に重ね着します。

長袖のハイネックアンダーウェアーは下着とは言うものの、一般のトレーナー等と変わらないのでアウターとしても着用できます(但し、ワンサイズ大き目を購入することです、これは肌着としての保温上ピッタリにできているからです)。


  霜柱の立つ頃

トレイル ジャケット トレイル パンツ

 いよいよ冬物としましょう、アウターはやはり撥水性をもった透湿素材で内側に薄く保温材の入った上下を選択します。

 後は秋春物のアンダーウェアーで十分です、
寒冷地のウォークであれば、厚地(ミドルウエイト)のアンダーウェアーで対応します。

今まで申し上げたのは、首尾一貫して軽量コンパクト性を追求してきました結果です、従いましてダウンやフリースのジャケットは選択肢の範囲から除外されてしまいます。

 手袋やその他の小物はアイテムの章で解説します。

 以上が私の見解です、参考になったでしょうか、日進月歩の世界ですので、色々と試してみましょう。