スケールモデルを作る

 初心者は取りあえず下記の1/10の
スケールモデルを作ってみましょう。

スケールモデルを製作する目的の第一はステッチ&グルー工法の理解です、パネル同士を結束させ、接着する基本が理解できます。

第二は何故、直線に切り出した
サイドパネルに反りが付くのかが理解できます。

第三は何故、薄いプラウッドで強度が出るのか、
モノコック構造の意味が理解できます。

第四はスケールモデルの製作工程は実艇カヤックの製作行程と寸分の違いがありません。

スケールモデルを製作することによって、以上の全てが理解でき、カヤック建造の実感が掴めます。

下記に示したスケールモデルの全長は52cm、全幅は56mmです、このサイズは私自身に合わせたオリジナルデザインです。

私の身長は
169cm、体重は68kgです、デザインの基本コンセプトはスピード安定性の両立です。

それではスケールモデルを作ってみましょう。


【用意するもの】

2mm厚バルサ材(長さ600mm) サイドパネル用1枚

1mm厚バルサ材(長さ600mm) ボトム、デッキ用2枚

3mm角模型工作用桧細角材(長さ90cm)
5mm角模型工作用桧細角材(長さ90cm)
 
セロハンテープ、瞬間接着剤(ゼリータイプ)
カッターナイフ、長さ60cmステンレス製定規、コンパス、分度器
紙ヤスリ(No 250)、マチ針(3本)、
ボールペン



【サイドパネルの切り出し】

2mm厚バルサ材の表面上に「サイドパネル図」の寸法を「サイドパネルの製作手順」に従ってラインを描きます。

カッターナイフでサイドパネル2枚を正確に切り出します。

切り出したサイドパネルの両面に「サイドパネルの製作手順D」の通りにセンターライン(赤線)を描きます。

更にセンターラインの前後37mmに垂直線(赤線)を内面に描きます。
【サイドパネルの組立】

 両パネルを重ね合わせてバウ及びスターンをセロハンテープで仮り固定します。

サイドパネル内側のセンターラインに細材を入れ全幅(外側)を56mmに固定します。

細材は残りの2mm厚バルサ材から切り出します、この段階では接着しません。

バウ及びスターンをナイフエッジ状に擦り合わせ、接着します。

優美な反りがサイドパネルに現れます。


【ボトムラインを描く】

 1mm厚バルサ材1枚の端から約5mm内側に直線を引き、「ボトムパネル図」の各数値を記入します。

キールライン側 : 5mm角材をバウ(船首)及びスターン(船尾)位置の延長線上にマチ針を打ち、センターから2.5〜3mm膨らませ、マチ針で固定し緩い曲線を描きます。

チャインライン側 : 3mm角材を同様に22mm膨らませ、マチ針で固定し、曲線を描きます。

※ これらの作業手順は実艇と何等変わりません。

【ボトムパネルの組立】

 ボトムラインを描いたボトムパネルを上にして、2枚を重ね合わせて、同時に切り出します。

2枚のボトムパネルを重ね合わせたままキールライン側のみを紙ヤスリでスムーズに仕上げます。

チャインライン側は荒切りのままにしておきます。

キールラインを互いに合わせながらセロハンテープで外側から順に固定します(接着はしません)。

ボトムのカーブがスムーズになっているかをチェックします。

【ハルの組立】

 ボトムパネルの上にサイドパネルを乗せ、サイドパネルのセンターラインとボトムパネルのセンターラインを合せます。

同様にバウ及びスターンをキールラインに合せます。

最大幅辺りではおおむねサイドパネルとボトム幅が合うはずです、バウ及びスターン側ではボトムパネルがはみ出しているはずです。

セロハンテープでサイドパネルとボトムパネルを慎重に接合します。

組立が終了し、問題がなければハルの内側からキールライン及びチャインラインに瞬間接着剤を施行します。


【バルクヘッドのセット】

 サイドパネル内側のセンターライン前後の37mmラインが前後バルクヘッドの取り付け位置です。

フロントバルクヘッドはラインより前にセットします、アフトバルクヘッドはラインより後ろにセットします。

各バルクヘッドは2mm厚バルサ材をカットしながらサイドパネル内側の角度に現場合わせを行います。

両バルクヘッドがサイドパネル内側に納まったらシアー位置をバルクヘッドにマークし一旦外します。

バルクヘッド両舷のシアーラインの位置に合せて指定のカーブをコンパスで描き、カットします。

バルクヘッドのカーブの延長線がシアー外側のエッジに掛かるようにセットします。

問題が無ければ接着し、センターラインの幅決めのバルサ材を取り除きます。


硬化後、はみ出ているボトムパネルを切り揃えます。
【デッキの取り付け】

 デッキは前後に分けて取り付けます。

前後のデッキの張り出し位置はサイドパネルセンターラインの後方15mmの位置です(コックピット図参照)。

この位置に合せて1mm厚バルサ材を曲げ付け、デッキ裏にシアーラインをなぞって描きます。

2mm位の切りシロを残してカッターで切り出します。
 
張り出しは前後いずれからでも構いません。

シアー上とバルクヘッド上に瞬間接着剤を施工し、まずバルクヘッドのカーブに合せ、両端をハルにセロハンテープで固定し、先端に向ってデッキカーブを維持しながら順次セロハンテープで固定します。

同じ要領で残りの1枚を取り付けます。

硬化後に、ハミ出しているデッキ材を切り揃え、ヤスリでフェアリングします。

【コックピットの切り出し】

 デッキ面上に「コックピット図」のラインを描きます。

前後デッキの繋ぎ目がコックピットの最大幅の位置である事が解ると思います。

カッターでコックピットを切り開けます。
【コーミングの整形】

 前後デッキの段違いの下にスクラップ材を押し当ててデッキ上面を揃えます。

【トランサムの整形】

 スターンを斜めにカットします。
 
紙ヤスリでフラット面にゆるいカーブをつけます。

1mm厚バルサ材を横に接着すれば組立の終了です。

トランサムをカットせず、バウと同様に仕上げても、何ら問題ありません。


 全体を紙ヤスリで平滑にサンディングすれば仕上がりです。

実物のカヤックも安価に仕上がりますが、スケールモデルも同様です。

塗装で仕上げれば立派な飾り物にもなるでしょう。

このスケールモデルを基準にして各自の用途、体格等に合わせて
全長全幅全高を変更しオリジナルのスケールモデルを製作して下さい、これがフリープランです。

最終決定したスケールモデルが1/10の
設計図になります。

不明な点や疑問がありましたら、ご連絡下さいあらゆる方法でお答えします。