シーカヤックは沈(転覆)が前提のスモールボートです!
バランスを崩したり、漁船の引き波等で簡単に沈してしまいます。
沈が前提である以上、十分な安全対策を備えておかなければなりません。
正に備えあれば憂いなしです。
競技用リバーカヤックのように下半身をシッカリとホールドしない、シーカヤックは沈をすると、パドラーはいとも簡単に艇外に放り出されてしまいます。
そして濡れた手でカヤックのシアー(舷側)を把かもうとしても、滑って掴めません。
シーカヤックのシアーはフェアーに丸めてあるので掴めないのです。
これでは大変に危険です、そこでライフライン(命綱)を取り付けます。
5mm径のシート(ロープ)をデッキ周囲に張ります。
このライフラインはコックピットを境に、バウ側及びスターン側に取り付けます。
これで手掛かりは万全です。
不測の事態が生じた場合、他艇を曳航したり、自艇を曳航してもらう際に使用します。
バウアイ及びスターンアイから各1本のシートをコックピット脇にリードして、クリート止めにしておきます。
シートの材質はマストロン等の浮くタイプがベターです。
浮力の無いシートですと、何かの拍子に手放した場合、自己回収は不可能です、揚句に海底に引っ掛かったら大事件です。
この曳航用シートは桟橋等に係留した場合にもやい用シートにもなります。
パドルリシューはカヤックとパドルを繋ぐコードです。
沈をしてもパドルを手離さないのが鉄則です、しかし初心者にとってこの鉄則は通用しません。
沈をしてパドラーが艇外に放り出されると、軽くなったカヤックは風圧を受け、勝手に走り出してしまいます。
パドルを持って泳ぐのは至難の業です、是非、装備しましょう。
【ビルジポンプ】
沈をして再乗艇(レスキュー編参照)した後、カヤック内の浸水を排出します。
このポンプは外観から想像する以上に高能率です。
【ベイラー】
通常アカ汲みと言います、船底に残った浸水をすくい取ります。
ハイター等の取っ手が付いている空ポットをカットしても代用できます。
男性の場合、乗艇中の簡易トイレにも転用できます。
【スポンジ】
やはりアカ汲みに使用します。
いずれのツールにも細いシートを付け、船体に縛っておきます、流失防止です。
ライフジャケットは必須アイテムです、カヤック用のライフジャッケトを購入しましょう。
カヤック用のライフジャケットは丈が短く作られています、コックピットにライフジャケットの裾が当らないようになっています。
又、脇が大きく開き、パドリングの邪魔にならないようになっています。
全面にポケットが付いていると、何かと便利です。
サイズは必ず着用して決定しましょう、単純にM、Lのサイズ合わせでは危険です。
ゆるめのサイズですと、沈をした場合にライフジャケットの中で身体が沈み込んでしまいます。
初心者の方はライフジャケットを着用して、海水浴をしてみましょう、その機能が十分に理解できます。
実際に沈をした場合に慌てずにすみます。
ライフジャケットにはマジックペン等で氏名、住所、電話番号等を書き込んでおきましょう。
備えあれば憂いなしです。
海上では案外、人の声は通りません。
マリン用のホイッスル(笛)がお奨めです。
普通のホイッスルの場合は本体の中に玉が入っていないタイプを購入しましょう、玉入りのホイッスルは水が入ってしまうと鳴らない場合があります。
細ヒモを付け、ライフジャケットに装備しておきましょう。
最悪の状況下、最も頼りになるのがこの携帯電話です。
「118」で海上保安庁につながります。
防水型の携帯電話が理想ですが、これとて直接海水に浸かったのではひとたまりもありません。
市販の防水ケースに入れ、ライフジャケットのポケットに装備します、必ず身に付けておきましょう。
それにしても海上保安庁のお世話にならないようにしましょう!
小銭や車のキー等を入れます。
思はぬ天候の急変で車を駐車しているビーチに戻れず、緊急避難した場合に小銭を身に付けておくと何かと便利です。
無事上陸しましたらバスに乗り、車を取りに行きます。
ズバリ熱中症対策です!
初心者のカヤックシーズンは沈しても怖くない夏です。
下半身はサウナ室のようなコックピットの中、上半身は体にピッタリなライフジャケットで包まれ、日陰のない炎天下の全身運動です。
熱中症になる条件の宝庫です!
海上で熱中症になったら、それこそ手の施しようがありません。
前日から冷凍庫で凍らせた水とスポーツドリンク等を保冷ケースに入れて持参しましょう。
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