レース艇

 レース艇の開発に挑戦してみましょう。

レーサー、何と響きの良い言葉でしょう。

一切の無駄を省き
走りに徹する、研ぎ澄まされた芸術品、ゾクゾクしますね。

友人に
背中を見せつけてやりたいという、ささやかな願望も満たせますネ。

 コンセプト

● 徹底した
軽量化
● 徹底した
低重心化
● 前面投影面積のスリム化
● 徹底したロープロフィール化

以上の4項目がレース艇開発の
基本コンセプトです、ワクワクしますね。

 徹底した軽量化

 製作工程編のシーカヤックは16kgで仕上がっています、これでも十分以上に軽量です。

サァ、ここから4kgは削(そ)ぎ落としましょう、全重量12kgが目標です、凄いでしょう !

市販のカーボン艇やケブラー艇を凌駕する超軽量艇です。

軽量化の具体策は、建造に使用するマテリアル(素材)に尽きます。

● デッキには2.6mm厚合板を使用します。
● ハル(船体)外板にはガラスクロスによるカバリング施工をしない。
● フィティング(艤装)のシンプル化と軽量パーツの使用

 徹底した低重心化と前面投影面積のスリム化

 前面投影面積のスリム化とは
ビーム(全幅)を狭める事です、48〜50cmに設定しましょう。

ビームを狭めますと当然、安定性がスポイルされます。

これを回避するのが徹底した低重心化です。

【シアーラインにカーブを付ける】

シアー中央部に3mmのカーブを付ける 結果、シアーラインに優美なカーブがつきます

 左右のサイドパネルを組み合わせ、中央部を任意のビーム幅に拡げるとシアーラインにカーブ(反り)が付きます。

この場合ビーム幅が広くなるほどシアーラインに大きなカーブが付きます。
 
ところがビーム幅を狭めると、シアーラインには緩やかなカーブしか付きません。

そこでシアーラインに3mmのカーブをつけます。

シアーラインに大きなカーブ(反り)が付くと

● ハル中央部の重心が下がります。
● パドルをより鋭角に差し込める様になります。

ハッチ等

 レーサーにはキャンプ用品等の積載は考慮しません、従がって前後デッキ面にはハッチを設置しません。

コックピット内の前後バルクヘッド面に点検用ハッチを取り付けます。

【ベンチシート】

桟木とベンチの組合せ
ベンチシートの直付け
 重心を飛躍的に上げているのはパドラー自身です、従がってパドラーの座位置を下げることは最も低重心化の効果が大きいのです。

通常、合板の
ベンチシートはコックピット内のボトムに2本の桟木を接着し、その上に取り付けます。

レース艇の場合は、この2本の桟木を省略し、合板のベンチシートをボトムに直接接着します。

作業もよりシンプルになります。

これにより10〜20mm
着座位置は下がります、効果絶大です。


 徹底したロープロフィール化

アフトデッキは1.8m合板一枚を張り、後端は緩やかなカーブにカットする ロープロフィール化

 漕航中のカヤックが強い
横風を受けると、バウは風上側に向いてしまう風見鶏現象を起します。

この現象はカヤックの中心位置より後方に着座する
パドラーが風圧を受けてしまうからです。

そこでアフトデッキを
ロープロフィール化することで、十分回避できます。

通常、
アフトデッキはスカーフ接合した長い合板パネルで覆います。

レーサーではこの方法を止めます、コックピットから後方に合板1枚(1.8m)の位置にビームを入れ、アフトデッキはここまでとします。

ここから船尾までは緩やかな
リバーストランサムとします。

これによって
横風の影響が大幅に緩和され、パドラーはフォーワードストロークに専念できます。

当然、
軽量化低重心化にも効果大です。

 1/10 スケール モデル

ビーム幅48mm ボリュームが後方に位置するスウェードフォーム
コックピット前端の高さ30mm 固定式スケグの採用

 まとめ

 サァ何かお気ずきではないでしょうか。

カーボン製の
ワンオフを仮にメーカーにオーダーしたとしたら、それこそウン百万でしょう。

市販のレーサーでもウン十万です、そしてその価格は軽くなればなるほど反比例し、高額になってしまいます。

ところがどうでしょう、合板による
自作レーサーは軽くなればなるほどコストが下がるのです。

そればかりか
製作時間手間も下がるのです。

どうですか楽しそうでしょう、自作の特権は
何でも有りです、是非トライしてみて下さい。